ポンとプロダクト

七転八倒しながらスタートアップで経営とプロダクトマネジメントをするポンの雑記

書評『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』 著:ルイス ダートネル

■概要

この本は文字通り、人間の文明が何らかの要因で崩れたら
残された人類はどう文明を復興するべきかを思考実験したものである。
 
もし世界で1つしか後世に情報を伝えられないとしたら何を伝える?と問われれば、
天才物理学者ファインマンは「原子とその凝集力と反発力の存在」と答えたという。
 
人類文明の中で、偶然や長い積み重ねに基づく発想を再現するには時間がかかる。
ファインマンのように一言ではないが一冊をかけて文明復興のために
何がキーポイントになるのかの思考実験を宇宙物理学者である筆者は、
再現性のある科学を論拠に繰り広げている。
 

ブラックボックス化した文明

極度に発達した文明では、理論と実践の隔たりを埋める存在はとても少ない。
発達した科学は魔術と見分けがつかない
という言葉にある通り、いまの文明では多くの事がブラックボックス化していることを実感する。
書籍は数式までは立ち入らないが、メカニズムの大枠を実生活と結びつけて理解するには十分リッチな内容であった。
 
また、現代の文明が相互に強く依存しているシステムのため
例えば電力供給ができなくなったらと考えるとその恐ろしさをさらに実感できる。
僕らは、鉛筆を量産するシステムさえその全体を把握していない。(電気/輸送etc)
 
書かれている項目を大別すると
  • 農業
  • 食料と衣服
  • 酸と塩基
  • 金属/ガラス
  • 医薬品
  • 電気/機械
  • 輸送機関
  • コミュニケーション
  • 応用化学
とあげられており文明復興とともに、科学と技術の共生関係からイノベーションコモディティに落としこむ繰り返しが見て取れる。そして科学の根幹に単位あり。
正確な計測による定量化が文明を進めてきた大きな要因であることを認識させられる。
 
 

書評『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』著 : 峯村 健司

■概要

中国において習近平が13億分の1の男、すなわち総書記に上り詰めるまでの権力闘争を描いたノンフィクション。
筆者は、習近平の権力基盤の捉え方が日本と、その他の国で大きく異なるという。
日本では弱いと見られがちな習近平の権力基盤は詳察してみると、盤石な耐性であることが伺える
 
中国なら発禁本と帯にもあるほど、徹底した取材に基づいていると感じる
中国を動かす原動力の本質は権力闘争にあると気付かされる一冊
 

■中国の原動力はなんだろう

もともとこの本を読むきっかけは安保法案審議が取り上げられた事にあった。
安保法案を通すか通さないかに議論が集中する中、本質的になぜ安保が存在し改変のモチベーションが生まれるのかを知りたかった。
その源泉を探る上で見逃せないのが、中国の動きを知ることだった。
 
今後の中国の動きを予想するためには、その原動力を知らねばならない。
古典物理で運動を決定するには、系に働く力を理解する必要があるのと同じように
そしてその動きの予測に対応する日本の動きを知るために。
 
中国の動きをよりクリアに理解するための1つの視点としておすすめの良書
 

大学院受験 : 参考書と演習書

下記目標を達成するために
  • 英語 : TOEFL    ITP TOEFL換算 700点
  • 物理 : 過去問    正答率 60%
学習教材として使ったものはこちらです
 

■英語

  • Duo3.0
  • Duo3.0 CD/復習用
  • 完全攻略!TOEFL ITP テスト
  • 完全攻略!TOEFL ITP テスト 模試4回分
  • DMM英会話
 

■物理

【教科書】

 

【演習】

 

読み物】 

  • 物理の歴史
  • 科学者という仕事
  • ご冗談でしょう、ファインマンさん
  • マンガ お話し物理学史
  • 物理数学の直感的方法
 
 

書評 『科学の現場』 著:坂井克之

科学とはどういう性質のものなのか、いまの社会における”科学”とはどのような役割を果たしているのか
明確にわかる一冊でした。書評というよりも気になったところのまとめです
 
“科学”は成果ではなくプロセスとして定義される。
 「真理追求としての純粋科学」と「人間の営みとしての科学」という2面性がある
と言うのは、自分の中では腑に落ちるものがありました。
 
 
【内容】
■科学の2面性
     真理追求としての純粋科学
     人間の営みとしての科学
 
■それぞれのレイヤーでの2面性による複雑化
     個人     科学と生活
     組織     科学と権力
     社会     科学と利益
 
■科学の性質
  • 科学は知識を生み出すための過程
  • 科学はすべての疑問に完全に答えることはできない
  • 科学は証拠を要求する
  • 科学は論理と想像力の融合である
  • 科学者は偏向を特定し回避する
  • 科学は権威ではない
■科学と技術
     技術は科学に依存している
     技術は研究の手段であると同時に科学に新しい方向性を示すこともある
 
■基礎研究と応用研究
     基礎と応用の差は、応用までの時間軸の違い
 

スプツニ子!△

■きっかけは笑ってこらえて!

雑誌や記事などでスプツニ子!さんの特集読んだことはあったけど
TV(笑ってこらえて!)をみてその先進性に心底おどろいた

www.ntv.co.jp

↓スプツニ子!さん
 
MITで助教を務める彼女はまさに天才
 
TVのコメントでは
『一般的にはデザインは問題解決の方法として捉えられるが(この時点で現在の先端)そうではなく、問題を提起するものとしてデザインを行いたい』
しびれた。。。
 
 

■作品ももちろんキレキレ

作品は、切り込み方が今までにない組み合わせで斬新、かつ具体的。
それでいてみんなが”言われてみれば確かに考えたことなかったけどそうだよね"
と思うようなわかりやすさもある。
 
iPS細胞の話題から、『同性のカップル(例えば2人共女性)でも1人の卵子から精子が作れれば、同性カップルから子供作れるかも』という「Impossible Baby」という作品など本当に好例。

aihasegawa.info

明確で決定的なイメージを持っているのだろう
 
 

■アートは未来を語る、サイエンスも未来を語る

アートは最も未来を語り、そして問題提起できる手段の1つ。
 
そして科学も問題提起できる手段になりうる
クローンの技術が生命倫理の問題を提起し、
半導体が情報技術を発展させプライベートとはなにかを提起したように
 
新しい物理視点で、あらたな問題的できるように今日も勉強

ベンチャーで過ごした1年と多様性

■語り尽くせぬ1年

シンガーソングライター、モデル、ダンサー、ダイバー、数学者、エンジニア、トリリンガル、アーティスト、奥様、大学生etc
おおよそ似ても似つかないバックグラウンドを持った人たちに囲まれてこの1年間をベンチャーで過ごしています。
 
全国各地の多種多様なチームメイトにもまれながら忙しい一年が過ぎました。
2週間ほど前にそのチームメイトがいる全国のショップを1人行脚してみました。
多様性は本当に予想外の結果を生みだし、多くの気付きを与えてくれ、成長する機会をもらいました。
 
なにより各地に遅くまで話し込んでくれるチームメイトがいる、これ以上に嬉しい事はありません。心から感謝しています
また、多くの学びを与えてくださった会社の皆様には感謝してもしきれません。
いつか学びを活かして、価値を生み出し、投資してくだっさった皆様にご報告できるように邁進していきます
 

■学び方の学び

話は変わりますが、この1年で学んだことの1つに”学び方の学び”があります。
そもそも”学ぶとは行動が変わること”であります。
そして”学びの方程式”によれば
  1. 気付き
  2. 言語化
  3. 関連付け
のフローにより学びは深化していきます。
 
”関連付け”の際には、今しがた気づいて言葉にしたことを
自身の経験などと結びつける事になります。
異なるバックグラウンドには異なる専門性があり、その中で学気づいたことを必死に想像や妄想して関連付けすることで、大きな学びを得ることができました。
 
多くの事象から、様々な気づきを得て、言語化して、そして自分の専門性から関連付ける。多様性は本当に予期せぬ知の源泉です