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書評『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』 著:ルイス ダートネル

■概要

この本は文字通り、人間の文明が何らかの要因で崩れたら
残された人類はどう文明を復興するべきかを思考実験したものである。
 
もし世界で1つしか後世に情報を伝えられないとしたら何を伝える?と問われれば、
天才物理学者ファインマンは「原子とその凝集力と反発力の存在」と答えたという。
 
人類文明の中で、偶然や長い積み重ねに基づく発想を再現するには時間がかかる。
ファインマンのように一言ではないが一冊をかけて文明復興のために
何がキーポイントになるのかの思考実験を宇宙物理学者である筆者は、
再現性のある科学を論拠に繰り広げている。
 

ブラックボックス化した文明

極度に発達した文明では、理論と実践の隔たりを埋める存在はとても少ない。
発達した科学は魔術と見分けがつかない
という言葉にある通り、いまの文明では多くの事がブラックボックス化していることを実感する。
書籍は数式までは立ち入らないが、メカニズムの大枠を実生活と結びつけて理解するには十分リッチな内容であった。
 
また、現代の文明が相互に強く依存しているシステムのため
例えば電力供給ができなくなったらと考えるとその恐ろしさをさらに実感できる。
僕らは、鉛筆を量産するシステムさえその全体を把握していない。(電気/輸送etc)
 
書かれている項目を大別すると
  • 農業
  • 食料と衣服
  • 酸と塩基
  • 金属/ガラス
  • 医薬品
  • 電気/機械
  • 輸送機関
  • コミュニケーション
  • 応用化学
とあげられており文明復興とともに、科学と技術の共生関係からイノベーションコモディティに落としこむ繰り返しが見て取れる。そして科学の根幹に単位あり。
正確な計測による定量化が文明を進めてきた大きな要因であることを認識させられる。